ガウディの椅子
美術会社より、ガウディの椅子の修理の依頼がありました。
ガウディの椅子は有名ですが、復刻版としてスペインの工房が製作し、世界中に広め、その内、何台かが日本国内に入ってきたそうです。
座板の底に刻印があります。向こうの職人さんの息使いが感じられます。逆目跡、ペーパー跡から、美術品というよりは実用品をつくっている”おおらかな感じ”を受けます。
この刻印で、時代やら、どこの工房で製作したかが辿れそうですね。。。
さて、最初に送られて来た写真
運搬中に脚の根元が割れてしまったらしい。
修理はいつもそうなのですが、直接確認しないと何ともわからないし、直接どこまで直す事も話さなければ!!ということで、依頼先まで確認に行きました。
預かった脚のぐらつきは、あっというまに裂けて、分離してしまいました。
信頼している木工屋さんに相談したところ、一人の人は、あくまでも”美術品”だから、ボンドで付けるだけで、飾って置くだけで、なるべく座らないでいてもらう!!といい、もう一人の人は、美術品とはいえ、やはり、使えなければ意味がないから思い切って前からボルトなど仕込んで強度をつけるかな??という意見。
後者の意見の方が魅力的で、依頼主もこちらを採用してくれました!!
コーチボルト
穴をあけて、ボルトで引っ張る。
片側だけでは弱いので、後ろ側からもビスで引っ張る。
木(楢材)を埋め込んで平滑にする。斜めなので結構難儀。
色付け
そして、上塗りはラッカー
光の具合で修理した所は見えてしまうが、まあ、良しとする。
他の脚はビスでも大丈夫そう。
まあ、この辺でご勘弁を!!
その他 背板がぐらついています。
叩くと4ミリ位スキマが広がりました。 ダボが4本入っているようです。
ボンドを流し込み、圧締
後ろ脚の根元には薄い木を打ち込む。
さすがガウディの椅子。工房に来た人は、皆さん注目します。
この椅子も作ったの?とか芸術家なの?とか、株が上がったようで、シメシメです。。。
特にこの手がガウディっぽい!
実に、”いい勉強”をさせて頂きました!!!
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